デビュー戦マスクがあまりにチープだったせいか、その後に作られた2代目マスクは、アニメをより再現するために立体的に作られ、通称「ぬいぐるみ」と呼ばれています。

ビジュアルはアニメに近くなりましたが、立体的に作られたため、死角ができてしまって見づらかったり、ズレやすかったりしたようで、試合中に時折マスクの位置を直す場面が見られていました。

また、立体的にした分大振りになってしまい、顔(頭)が大きく見えるという欠点もありました。

全体がボアでできていると思っていたのですが、後頭部はボアは貼られておらず、伸縮性を持たせることで、よりフィットしやすくしていたようです。

こちらの製作者も「Gスピリッツ VOL.15(辰巳出版)」にて解明されており、「ポピーからの発注を受けた某社の女性」が作ったということです。

目出し帽のようなマスクにボアを貼り付けて作ったそうで、同時にリストバンドやマントも作ったようです。

この女性、依頼を受けて事務所に行ったにも関わらず、『正体を明かせられない』ということで、目隠しをさせられ、その後に入ってきた佐山氏本人を手探りで採寸したそうです。今ではギャグのような話ですが、当時はそれだけ覆面レスラーの正体隠しに徹底していたことが分かります。

余談ですが、今から20年ほど前に「アグネス仮面」という「小学館」より発行されたギャグを織り交ぜた格闘マンガがありました。昭和50年代前半のプロレス界を舞台に描いているのですが、冒頭にこんな言葉があります。

アグネス仮面/ヒラマツ・ミノル著(小学館)

「二十数年前、プロレス界は今ほどビジネスライクではありませんでした。レスラーもお客も、今よりずっといい加減でテキトーで大雑把で大らかで、そして誰もが真剣でした。」

昭和プロレスをまさに言い表した言葉ではないでしょうか。私はとても大好きな言葉です。