「新日本プロレス創立10周年記念第2弾」と銘打たれた9月23日の田園コロシアム大会。

伝説のド迫力マッチとなった、アンドレvsハンセンの一騎打ち、試合前にラッシャー木村の“こんばんは事件”が起こった猪木vs戸口と共に、試合中のアクシデントによる消化不良試合になり、マイナスの意味で歴史に残る試合となってしまったタイガーvsソラールの一戦でした。

東京スポーツでは写真無しの本文のみで試合の模様を報じています。

東京スポーツ 81年9月25日号

「ザ・プロレス」では、写真1枚を使って紹介されています。

ザ・プロレス 81年10月21日号 (東京スポーツ新聞社)

「週刊ファイト」は大会の他の試合は報じていますが、アクシデントによる消化不良に終わってしまったせいか、この一戦に関してはレポートが掲載されていません。

同じ理由からか「プロレス」「デラックスプロレス」の「ベースボール・マガジン社」の専門誌にも記事が掲載されていないようです。

「別冊ゴング」11月号では、「タイガー不本意なる勝利」という見出しで見開き2ページを使って紹介されています。

別冊ゴング 81年11月号(日本スポーツ出版社)

また、同誌には「これが話題のタイガー殺法」として、デビュー以来のタイガーの数々の写真を、6ページに渡り掲載しています。

別冊ゴング 81年11月号(日本スポーツ出版社)
別冊ゴング 81年11月号(日本スポーツ出版社)
別冊ゴング 81年11月号(日本スポーツ出版社)

カラーページには、最近はほとんど見なくなった屋外会場での試合の様子が掲載されており、古き良き昭和の時代の光景が映し出されています。

別冊ゴング 81年11月号(日本スポーツ出版社)

更に、モノクロページには、ピラニア山口氏(のちにインディー団体やWWEでマネージャーとして活躍するウォーリー山口氏)による、3ページに渡るインタビューも掲載されています。

このインタビューでは、マニアやある程度の知識があるファンの中では正体が「佐山サトル」であることが知られているタイガーに対して、公然の秘密と知ってインタビューするか、本人の口から自分自身について語ってもらい、正体についても聞いていくかのどちらかにするか迷ったことが書かれています。

別冊ゴング 81年11月号(日本スポーツ出版社)
別冊ゴング 81年11月号(日本スポーツ出版社)

結果としては後者の形のインタビューとなり、「新日でデビューしてタイガーとしてのデビュー戦は帰国という形になる」ということや、メキシコ・イギリス時代のライバルやタイトル歴になどを本人が語っています。

イギリス時代の話題の中で、山口氏が「サミー・リーっていう日系レスラーがいたでしょ…イングランドでは…(笑)」と尋ねると「はい、いました。あの人も強いですよ。(笑)」と答えるタイガーのやり取りがありますが、この両者の「(笑)」というところに思わずニヤリとしてしまいました。