タイガーマスクのデビュー戦では、「ブレイン・ウォッシュ・バンド」の生演奏によるオリジナル曲「バーニング・タイガー」で入場。その後は、アニメ「タイガーマスクⅡ世」の主題歌「タイガーマスクⅡ世」を使用していました。

「「タイガーマスクⅡ世」水木一郎とコロムビアゆりかご会(日本コロムビア)

そして、田園コロシアムでのソラール戦で、タイガーのニュー・テーマ「おまえは虎になれ」が披露されます。

「おまえは虎になれ」松村とおる(日本コロムビア)

作詞は、コピーライターやエッセイスト、タレントとして活躍する糸井重里氏。

「おまえは虎になれ」松村とおる(日本コロムビア)

ちなみにプロレスの会場で、初めて入場にテーマ曲が流されたのは1974年の国際プロレス。初来日した、スーパースター・ビリー・グラハムが使用した「ジーザス・クライスト・スーパースター」がテーマ曲第1号といわれています。

その後、ミル・マスカラスの「スカイ・ハイ」が大ヒットし、レスラーの入場テーマが収録されたレコードが販売されるようになります。

テーマ曲には、そのレスラーのイメージに合わせて、既存の曲から選ばれて使用されることが多かったのですが(マスカラスの「スカイ・ハイ」も香港映画のサントラから)、レコードを売るという狙いもあったのか、そのレスラーのイメージに合ったオリジナル曲が作られるようにもなっていきます。

新日本プロレスでは、アントニオ猪木の「炎のファイター」、坂口征二の「燃えよ荒鷲」、藤波辰巳の「ドラゴン・スープレックス」がオリジナル曲として、シングル・レコードとして発売もされています(厳密に言うと「炎のファイター」はアリの自伝映画で使用された「アリ・ボンバイエ」のカヴァー)。

また、1980年にキングレコードより発売されたLP「スーパーファイターのテーーマ」には、このために作られた長州、木戸、木村健吾ら中堅レスラーや、アンドレ、ハンセン、シンなどの外国人レスラーのオリジナル曲が収録されており、多くの曲が実際に会場でも使用されています。しかし、基本的には既存の曲が使用されることが多く、オリジナル曲を使用しているレスラーはごく一部でした。

その中でデビュー5ヶ月にして、オリジナルテーマ曲が作られ、それがシングル・レコードとして発売されているということから見ても、当時のタイガー人気や団体側のタイガーにかける期待が感じられますね。

ただ、せっかくのオリジナル曲「おまえは虎になれ」でしたが、年末の「MSGタッグ・リーグ戦」の途中辺りから「タイガーマスクⅡ世」に戻り、(その後も何度か使用されたこともあったようですが)使用されなくなってしまいました。