専門誌には試合レポートの他に、タイガーに関する巡業中のこぼれ話などが掲載されています。
「ゴング」には、これまでは鶴田、藤波が馬場、猪木の後継者と認められていたが、天龍、タイガーマスクが頭角を現し始めたといった記事が書かれています。
また、シリーズの「殊勲賞」があるとしたらタイガーを推したいという、タイガーの活躍を賞賛する記事も掲載されています。
集英社発行の「ヤングジャンプ」の「タイガーマスクをギブアップさせるか、フォールを奪えば100万円がもらえる!」という企画「肉弾梶原賞」の東京ゾーンの予選が、1月28日の東京体育館大会の試合前に行われたという記事が「ビッグレスラー」に掲載されています。
来日したカール・ゴッチについて、タイガーはゴッチ道場の門下生として受けた影響を語っています。
また、必殺技についての特集コーナーでは、ゴッチの来日もあってか「ジャーマン・スープレックス・ホールド」について論じており、第一人者としてタイガーの名が挙げられています。
タイガーをテーマにした論文募集も行われています。それだけタイガーが論ずるに値する価値があるレスラーだったという事が分かりますね。
試合レポートだけでなく、様々な話題が取り上げられるタイガー。それだけ読者がタイガーに関する情報を欲していたことが分かりますね。
そんな中、「週刊ファイト」に興味深い記事が掲載されています。
「全日が”そっくりさん”づくりへ」と、人気沸騰中のタイガーの向こうを張って、「全日のアイドル・マスクマン」を誕生させることを計画しているというのです。
観客動員増、テレビ視聴率アップを狙ってのことらしいですが、2代目タイガーマスク(三沢光晴)の登場は2年後の84年の夏で、タイガーの引退後の話ですから、これはまさにこの後全日マットに登場した「ウルトラセブン」のことでしょうか。
ただ、セブンの正体である高杉正彦選手の後年のインタビューで、「セブンへの変身は高杉選手自身がジャイアント馬場に提言した」と言った類いの内容が書かれており、セブンとは別の話があったのかも知れません。
どちらにせよ、ライバル団体の全日本プロレスとしても、タイガー人気は脅威だったことが分かりますね。