今はすでに無くなってしまった出版社・勁文社(けいぶんしゃ)から発行されていた「ケイブンシャの大百科」シリーズ。手のひらサイズながら、辞書のような分厚さと「大百科」と呼ぶにふさわしい内容で、子どもたちに人気を博していました。

内容も、特撮、アニメ、プロ野球、アイドルといった当時の子どもたちに人気のあったものがラインナップされており、ご多分に漏れずプロレスも発刊されています。

プロレス大百科(頸文社)

巻頭のカラーページには、国内外の当時の人気レスラーが掲載されていますが、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、アントニオ猪木、坂口征二、藤波辰巳に続いて6番目にタイガーが登場します。

プロレス大百科(頸文社)

特筆すべきは、タイガーの扱い。他のレスラーが2~1/4ページ扱い(馬場、猪木でさえ2ページ)に対して、タイガーのみ4ページも割かれているのです。

プロレス大百科(頸文社)
プロレス大百科(頸文社)

続いて白黒ページには、選手名鑑が掲載されていますが、初版の発行が1981年12月20日(実際に発売されたのはおそらく11月)となっており、企画が立ち上がり発行に向けての準備がなされていたのが、国際プロレスが崩壊する前だったため、日本人の選手名鑑は、「全日本プロレス」「新日本プロレス」「国際プロレス」という括りになっています。

ただ、タイガーは「新日本プロレス」では無く、特集ページとして紹介されているのですが、馬場、猪木が6ページ(他のレスラーは4~1/2ページ)扱いに対して、タイガーは8ページとこちらでも特別扱いとなっています。

プロレス大百科(頸文社)
プロレス大百科(頸文社)
プロレス大百科(頸文社)
プロレス大百科(頸文社)
プロレス大百科(頸文社)
プロレス大百科(頸文社)
プロレス大百科(頸文社)

ちなみに巻頭ページの日本人レスラーや選手名鑑は、団体設立の順としては新日本プロレスの方が先に来てもおかしくないはずですが、「全日本プロレス」「新日本プロレス」という順番になっています。

ただし、設立順となると国際プロレスが1番に来てしまい(苦笑)、当時のパワーバランスや崩壊寸前の団体であることからさすがにそうは出来ません。しかし新日本を最初に扱えば「監修・新間 寿」となっていることで、新日本に有利になるよう編集されたととられる恐れがあるため、全日本を先に持ってきたのかもしれません。

ただし、こちらの書籍は監修こそ新間氏となっていますが、内容は、新日本プロレスに偏ること無く、まさに「子ども向けのプロレス入門書」となっています。

その中で、他のレスラーよりも多くのページが割かれているタイガーは、それだけ人気があったということが分かりますね。