プロレス 82年4月号(ベースボール・マガジン社)

2月26日のワールドプロレスリングは、2月14日にメキシコシティで行われた大会がオンエアされています。この大会にはアントニオ猪木と藤波辰巳が参戦し、アブドーラ・ザ・ブッチャー、ペロ・アグアヨ組と対戦していますが、タイガーは参戦しておらず、試合のオンエアはありませんでした。

82年3月4日 後楽園大会

3月5日のワールド・プロレスリングは、開幕戦の横浜大会からの生中継となりますが、番組冒頭には、前日に行われた前夜祭の模様がダイジェストで放送されています。

番組のオープニング「TV朝日スポーツテーマ」をバックにテロップが流れる中、前夜祭の入場式の様子が映し出されます。

 
 

CM明け、まず、前夜祭の入場式の模様がダイジェストで放送されます。タイガーはリーグ戦には不参加ですが、入場式に参加しています。

 
 
 
 

タイガーのたすき姿は珍しいですね。続いてスティーブ・ライトとのWWFジュニアヘビー級タイトル戦の模様がダイジェストで放映されます。

当初の発表ではコロソ・コロソッティとのタイトル戦となっており、チケットにも印刷がされていましたが、ライトへ変更。コロセッティは4年前、藤波がチャンピオン時代に挑戦者となった実績があったのですが、来日してみたら体が大きくなっており、ウエイトオーバーで急遽変更となったようです。また、レフェリーも「特別レフェリー カール・ゴッチ」となっていましたが、ミスター高橋に変更になっています。

 
 

ダイジェストということで、序盤から中盤にかけての攻防は大幅にカットされフィニッシュへ。

 
 

最後は両者もつれるように場外に転落した後、タイガーがライトを鉄柱に叩き付けます。

 
 
 

ライトが悶絶している間にリング内に滑り込んだタイガーがリングアウト勝ちを納めます。

 
 

タイガーが絡んだタイトルマッチがほとんどオンエアされている中で、この試合はオンエアされなかった数少ない試合の1つとなっています。

こちらも当時のマニアの方による生撮りが存在し、入場から終了までの攻防をしっかりと見ることができます。

 
 
 

試合開始から、タイガーとライトによるグランドの攻防が展開されますが、ライトはまるで手品かあやとりのような洗練されたレスリング・テクニックを見せます。

 
 
 
 
 

さらに業師と呼ばれるライトはトリッキーな動きを見せ、タイガーを翻弄します。

 
 
 

また、体重こそジュニアですが、身長は185cmとタイガーとの体格差は歴然。豪快なボディスラムなど体格差を利用した技を仕掛けタイガーを攻め込みます。

 

タイガーも負けじと攻め込みますが、ライトが巧みな切り返しと攻めを見せ、ライトが試合をコントロールしている様がありありと伝わってきます。

 
 
 

その後のタイガーとライトの試合でも見られるモンキー・フリップの攻防が、この試合でも見られますが、やはりライトに余裕が見られます。

 

タイガーはライトに無い打撃を見せ、活路を見出そうとしますが、なかなかペースを奪うことができません。

 

最後はギリギリリングに滑り込んだタイガーが、辛うじてリングアウト勝ちを納めます。

 
 
 
 
 

実際に内容を見てみると、ダイジェストながらテレビ中継で試合が大幅にカットされていたことも納得。“無敵のスーパーヒーロー”というイメージを崩さないため、良いところが無かったタイガーの姿を見せないようにテレビ朝日が編集。テレビ中継のダイジェストだけではタイガーの苦戦が伝わってこなかったことから、テレ朝が情報操作に成功したと言えるでしょう。

タイガーはタイトルを防衛はしましたが、今ひとつ攻めきることが出来ず、「ライト強し」という印象が残り、4月1日の蔵前での防衛戦に赤信号が点った試合となりました。