それまでのプロレスのキックといえば、ストンピングやドロップキック、ジャイアント馬場やアンドレ・ザ・ジャイアントのビッグブーツなどの足裏で蹴るものがほとんどでした。
そこにムエタイ流の本格的なキックを持ち込んだのがタイガーマスクとされています。
タイガーマスクとしてデビューする前の若手時代に、キックボクシングのジムに通ってキックの技術を習得したタイガーは、海外武者修業時代もこのキックを使用しており、特にイギリス時代はブルース・リーの親戚の「サミー・リー」を名乗り、キックを主体としたファイトを見せていました。
デビュー戦でも、独特なムーブと共に、ミドル、ハイと使い分けるキックはファンに強烈な印象を与え、その後も試合の要所要所でキックを使用しており、「タイガー=キック」のイメージが定着していたのも事実です。
そんなタイガーが「3月14日の後楽園ホールで行われるキックボクシングのリングに上がり、ヘビー級のキックボクサーと対戦!」というニュースが舞い込んできたのです。
しかし、残念ながらタイガーの対戦相手に相応しい選手が見当たらず、クロネコとのエキシビジョンマッチとなったとのこと。
試合の模様を報じた写真はおそらくこの1枚のみ。当時、タイガーの付き人をしていた山崎一夫選手がレフェリーをしていたことが分かります。
残念ながらその後もタイガーマスクとして引退するまでに異種格闘技戦の実現はならず。もしこの対戦が実現していたら、タイガーマスクとして初の異種格闘技戦となり、どんな試合展開になったのかとても興味深いです。