新日本プロレスブームの真っ只中、「闘うことを宿命づけられた男達への愛の賛歌」といった仰々しい触れ込みで、新日本プロレス所属レスラーのテーマ曲が収録されたレコードが3月30日に発売されます。
専門誌等に掲載された広告でも、タイガーの写真が大きく使われています。
発売は「SMS(サウンド・マーケッティング・システム)」というレーベルですが、今はもう存在していません。
こちらは店頭等に貼られていた宣伝用のポスターです。
こちらはジャケットですが、アントニオ猪木、坂口征二、藤波辰巳、アブドーラ・ザ・ブッチャー、そしてタイガーマスクの姿が確認できます。
帯の部分には大きく「タイガー・マスク」と書かれていますが、本来のタイトルは「スーパー・ファイターのテーマⅡ」。よく見ると横に小さく書かれていますが、「タイガーマスク」という名前を前面に出した方が注目を浴びやすかったからでしょうか、改めてタイガーの人気ぶりが分かりますね。
裏側はタイガーの全身像。ここでもタイガーを前面に押し出しています。マスクは「元旦伝説」と呼ばれるタイプ。タイツも黄色いラインの入っていない無地の黒(元日決戦で使用していましたね)であることから、1月上旬頃の撮影でしょうか。
こちらは帯無し。キラー・カーン、タイガー戸口、ハルク・ホーガンの姿が確認されます。
こちらは解説書。
裏はテーマ曲が収録されているレスラーの姿が映っています。そこに古舘アナと保坂アナの顔写真もあることから、ワールドプロレスリングの人気と共に、両アナウンサーも人気があったということがうかがえます。
こちらは特典のポスター。
こちらは同時期に発売されたカセットテープ。こちらは帯が無いので「スーパー・ファイターのテーマⅡ」がハッキリと書かれています。
中に入っている解説書はこちら。サイズの関係かレスラーの写真は使われていませんが、書かれている内容は同じです。
カセットテープにも、LPと同様のポスターが特典に付いてきますが、LPが折り畳んでジャケットの中に入っていたのに対し、カセットテープの方は袋に入れて渡されていたようです。
ちなみに「スーパー・ファイターのテーマⅡ」というだけあって、「Ⅰ」も存在するわけですが、そちらはキングレコードから発売されており、違うレコード会社からタイトルが引き継がれて発売されているということになります。
発売に際してレコード会社からアプローチがあったのか、新日本プロレス側からだったのかは分かりませんが、レコード会社にとって企画物のネタとしてプロレス(特に新日本プロレス)が魅力的なコンテンツだったということでしょう。
収録されているレスラーですが、猪木、坂口、藤波、バッドニュース・アレン、星野勘太郎、谷津嘉章、ホーガン、ブッチャー、ジョージ高野、カーン、前田明、戸口、ディック・マードック、タイガーとなっており、「Ⅰ」に収録されなかったレスラーが中心になっています。
当時はテレビ撮りがある興行ではテレビ朝日が入場用の音源を用意したものを流し、その他の地方大会は新日本プロレスが用意したものを流していたそうです。また、前座や中堅どころの試合では入場曲が使用されていなかったり、使用されてもレスラーごとに曲が固定しておらずに同じ曲を複数のレスラーで使い回していたりしたそうで、ここに収録されている曲も、実際には使用されてなかったり、または使用したとしても地方大会のみだったりということで、あまり聞き馴染みのないものがあります。
タイガーの曲「ローリング・ソバット」も地方大会で使われていることが確認済み。しかし、テレビ中継では基本的に「タイガーマスクⅡ世」を使っていたため、あまり馴染みがありません。ただ、作曲が「ルパン三世のテーマ」でおなじみの大野雄二氏(アレンの曲も大野氏)のため曲も軽快なテンポで、またタイガーが出演した他の番組のBGMに使われたこともあって一部のファンからの評判は高いです。
ちなみに、猪木、坂口、藤波、ブッチャーは既に使用されている曲のイメージが強かったためか、カヴァーが収録されていました。