「ビッグファイト・シリーズ」には、4・21蔵前大会でタイガーを苦しめたブラック・タイガー、NWA世界ジュニアヘビー級チャンピオンのレス・ソントン、UWA世界ミドル級及びWWFライトヘビー級チャンピオンのグラン浜田、その浜田と抗争を繰り広げていた初代WWFライトヘビー級チャンピオンのペロ・アグアヨ、元WWFジュニアヘビー級チャンピオンのホセ・エストラーダといったジュニアヘビー級の実力派レスラーが多数参戦しています。

ここに現WWFジュニアヘビー級チャンピオンのタイガーが加わり、ジュニア大戦争が繰り広げられていきます。

シリーズ開幕戦の大宮大会の生撮り映像には、今シリーズ参戦のジュニア戦士の貴重な映像が残っています。

まずは、ソントンと寺西勇のシングルマッチ。寺西も新日本参戦後は「はぐれ国際軍団」の一員としてジュニア戦線には絡んではいませんでしたが、国際時代は「和製カーペンティア」の異名を取り、IWAミッドヘビー級(現在で言うジュニアヘビー級)王座にも就いていたほどの実力者。注目の一戦となりました。

2人とも実力者であり、渋い攻防を見せましたが、最後はソントンが豪快なペンデュラム・バックブリーカー(振り子式バックブリーカー)一発で寺西をフォール。勝利を納めています。

B・タイガーは星野勘太郎とシングルマッチを行っています。星野は山本小鉄(1980年4月に引退、ワールドプロレスリング解説者に)とヤマハ・ブラザーズを結成し、1960年代後半から1970年代全般にかけて国内外で活躍。日本プロレス時代はジャイアント馬場、アントニオ猪木とタッグを組むことも多かった実力者。デビューして20年のベテランではありましたが、ジュニアヘビー級の体格ということもあり、タイガーとタッグを結成することも多く、「突貫小僧」の異名を取っていました。

最後はツームストーン・パイルドライバーでB・タイガーが星野にフォール勝ちしました。

グラン浜田は藤波辰巳と組み、ペロ・アグアヨ、ホセ・エストラーダと対戦しています。

アグアヨは「山犬」の異名を取るメキシコでは珍しいラフファイターで、素顔のルードとして活躍していました。初来日時に当時藤波が保持していたWWFジュニアヘビー級王座に挑戦しており、メキシコでは浜田とも抗争を繰り広げています。

またエストラーダは、WWFを主戦場にしていたヒールのレスラーで、藤波がMSGでWWWFジュニアヘビー級王座を奪取したときの相手でもあります。目立ったタイトル歴も無く、前座要員ではありましたが、多くのレスラーのMSGデビュー戦の相手を務めるほどの実力者でもありました(これから売り出していくスターレスラーの良さを引き出し、引き立てるための相手でもありますからね)。

それぞれ因縁のある両チーム、試合は外人組が花束で日本人組を強襲。荒れた展開になります。

最後はフォールの体勢に入った藤波に、アグアヨがセントーンでカットに入りますが、藤波が避けたために同士討ちに。場外に落ちたアグアヨに浜田がトペを決めている間に、藤波がエストラーダにブレーンバスターを決めフォール勝ち。日本人組が勝利を納めました。