8月27日に後楽園ホールで開幕した「ブラディファイトシリーズ」。本来であればシリーズ開幕戦の模様は生中継で放送するところですが、しかしこの日は「日韓親善高校野球大会」が放送されたため中継はありませんでした。ただ、収録はされており、後年日の目を見ることになります。
それは1996年に開局したCSのプロレス・格闘技専門チャンネル「FIGHTING TV サムライ」(以下、サムライTV)の開局当初の目玉番組「闘いのワンダーランド」です。
「闘いのワンダーランド」とは、当時放送されていたワールドプロレスリングの現存する映像素材を年代順に放映していく番組で、1973年8月24日アメリカ・ロサンゼルスで行われたアントニオ猪木、坂口征二 vs ジョニー・バレンタイン、パット・パターソンから始まり、猪木、坂口vsルー・テーズ、カール・ゴッチ、猪木がNWF世界ヘビー級王座を奪取したジョニー・パワーズvs猪木、猪木vsストロング小林、猪木vsタイガー・ジェット・シンの腕折りマッチ、猪木vs大木金太郎といった今でも名勝負と呼ばれる試合が順にオンエアされていました。
中にはソフト化されていない試合や、更には当時収録されていながら都合によりオンエアされなかった試合もあり、マニアにとってはたまらない番組でした。
そこで、この日の大会の模様が1997年6月の「闘いのワンダーランド」内でオンエアされ、タイガーは藤波辰巳と組み、ブラック・タイガー、ピート・ロバーツ組と対戦します。
まずは「フットボール・ファイト」に乗って、ブラック・タイガーを先頭に外人組が入場。
続いてこの日より使用された古舘伊知郎アナが歌う「燃えろ!吠えろ!タイガーマスク」に乗って、藤波、タイガー組が入場します。
B・タイガーが花束嬢から受け取った花束でタイガーを急襲すると
起こったタイガーがやり返します。
4選手のコールの後、試合が開始。
試合は藤波とロバーツでスタート。
ロバーツのピンチにB・タイガーがカットに入りますが
その執拗な攻撃にロバーツが不快感を示し、ロバーツとB・タイガーの間にやや不穏な空気が漂います。
タイガーはロバーツとの対戦となるとグラウンド中心のレスリングを展開していきますが
B・タイガーとの対戦となると、スピーディーで立体的な展開が繰り広げられます。
藤波とB・タイガーの対戦も興味深いです。
B・タイガーがツームストーン・パイルドライバーを決め
さらに2発目を決めようとしたところ、これをタイガーが切り返し
お返しにジャンピングしてのツームストーン・パイルドライバー!
最後はロバーツのバックを取った藤波が、ロープに押し込んでのジャパニーズ・レッグ・ロール・クラッチで勝利を収めます。
ちなみに当時、金曜夜8時にテレビ朝日で「ワールドプロレスリング」は中継されていましたが、テレビ局の数が少ない地方によっては、1つのテレビ局にいくつかのキー局が混在する場合があり、違う曜日の違う時間帯に放送されていた地方もありました。
そんな地方では、金曜夜8時に野球中継などでワールドプロレスリングが無くなったとしても関係がありませんから、そういった地方用に番組自体は作られており、キー局では見られない試合が見られることもあったそうです(後年、裏ビデオとして広まった前田日明vsアンドレ・ザ・ジャイアントがそれに当たりますね)。この試合もその一つかもしれません。
2003年2月に発売されたDVD「初代タイガーマスク~猛虎伝説~Vol.3」には入場シーンがカットされてはいましたが、この試合が収録されており、CS放送が見られる環境にない方も見ることができるようになりました。