9月10日のワールドプロレスリングは、まず前週の福岡スポーツセンターで行われ、試合が中継時間内に収まらず、フィニッシュまで放映されなかったアントニオ猪木、藤波辰巳vsラッシャー木村、アニマル浜口の試合がオンエアされます。

そして、宇土市民体育館からの生中継に切り替わり、坂口征二、谷津嘉章vs木村、浜口の試合が流れた後、セミファイナルでタイガーvsピート・ロバーツの試合がオンエアされます。

まずは、ピート・ロバーツがトニー・ウイリアムスの「OPEN FIRE」に乗って入場。

続いて「燃えろ!吠えろ!タイガーマスク」に乗ってタイガーが入場してきます。

両者の入場が終わったところで、突如ブラック・タイガーがリング内に入り、ロバーツを押しのけタイガーにとびかかっていきます。

タイガーはそれをキックで迎撃。ブラック・タイガーに向けてさらに攻撃を加えていくのですが

そこにロバーツが近付いていき、B・タイガーの救出に入ると思いきや

B・タイガーをリング外に放り投げます。

「邪魔者は追い払ってやったぜ!」と言わんとばかりに手を払うジェスチャーを見せ、その紳士的な行為に客席からは歓声が巻き起こります。

両者のコールの後、一旦CMへ。

CMの最中にゴングが鳴り、試合開始から25秒ほど経過した辺りから放送が始まります。

お互い相手の裏の裏をかきながら技を切り返し、攻守が目まぐるしく変わる展開を見せます。

途中、サマーソルトキックが汗で滑り、着地に失敗するタイガー。一瞬ヒヤッとさせられます。

アームロックで腕を決められたタイガーは、ロバーツを場外に投げて脱出。

リング内に戻ってきたロバーツは、トップロープ越しにキックを見舞います。

ロープワークから回転エビ固めにきたロバーツ。

これを返されたロバーツは続けてヘッドシザースホイップを見せますが

これをタイガーが側転で切り返すといった見ごたえのある攻防が繰り広げられます。

最後はロバーツのボディスラムを空中で切り返したタイガーが

バックから跳びついてのジャパニーズ・レッグ・ロール・クラッチでフォール勝ちを収めます。

最後はお互いの健闘を称えあい、爽やかな幕切れとなります。

2010年にタツミムックより発売された「Gスピリッツ Vol.15」の特集「初代タイガーマスク『猛虎伝説』の最深部を探る」の中に、プロレスリング・ノアの丸藤正道選手がタイガーの試合映像を観てタイガーの動きについて語るという企画がありました。その中で、“印象に残った試合”としてこのロバーツ戦を挙げており、「2人が離れずにどんどん動いていくのは、メチャクチャ面白い」「ずっとお互いに手を取り合ったままグラウンド戦を続けて、ほとんど離れないが、それって凄いこと。今の選手にはできないだろう」と語っていました。

空中殺法のほとんど出ない試合で、当時のチビッ子ファンには異質と映った試合かもしれませんが、そういった視点から見ると、また違う趣のある面白い試合だと感じました。