10月29日の「ワールドプロレスリング」は10月26日の大阪府立体育会館からの録画中継。タイガーは小林邦昭とのWWFジュニアヘビー級タイトルマッチを行います。

82年10月26日 大阪大会
THE WRESTLER Vol.12

入場を終えた小林が待つリングに向かうタイガーの姿から中継が開始されます。

タイトルマッチセレモニーの後、両者のコールが行われたところでCMに入ります。

CM明け、両者のボディチェックから。

序盤は思いのほか落ち着いた感じのグラウンドの攻防を見せていましたが、

その中、タイガーが肘を振り下ろしたり

下になったタイガーがロープブレイクの際に小林の顔面にキックを入れたりと、ややタイガーの方が感情的になっているように見えます。

途中、小林もロープブレイクの際にエルボーを入れるなどややラフな場面も見られますが、試合を壊すような意地の張り合いにはならず、グラウンドにキックを織り込んだじっくりとした攻防を見せます。

レッグロックに取ったタイガーがここでも小林に痛烈な張り手!

強烈なヘッドロックで小林を絞め上げます。

タイガーのローリング・ソバットをかわした小林は

ローキックからお返しのローリング・ソバット!

変形のハーフ・ボストンクラブでタイガーを攻め込みます。

タイガーが小林にドロップキック!

2発目を狙いますがこれは小林がかわしたためタイガーは自爆。

小林が後ろ回し蹴りを繰り出すと、タイガーはヘッドロックに来た小林に対しジャンピングしてのバックドロップで反撃!

すかさずトップロープに上ったタイガーはダイビング・ヘッドバット!

これが見事に決まり、さらに追い打ちをかけようとトップロープからのダイブ技を狙ったところを小林が下からパンチ!

体勢崩しリング下に落ちたタイガーに向かって小林はプランチャ・スイシーダ!

先にリング内に戻った小林はエプロンサイドに上がったタイガーを引きずり起こしてコーナーに叩きつけ

再び場外に落ちたタイガーを追いかけ、鉄柱に打ち付けます。

リング内に戻った小林はタイガーをコーナーに固定し身動きを取れなくすると

タイガーのマスクに手を掛け、マスクを引き裂くという暴挙に出ます!この前代未聞の攻撃に場内は騒然‼

さらに反対側のコーナーポストにタイガーを叩きつけると

再びマスクに手を掛け、マスクを剥ごうとします。

セコンドが駆けつけ小林をタイガーから引き剥がし、タイガーの素顔が見られないようにとシャツやタオルでタイガーの顔を覆いますが

小林がそのセコンドをタイガーから引き剥がします。

ダウンしたままのタイガーはそのままセコンドによって、控え室に。

これまでもタイガーのマスクを剥ごうとしたレスラーはいましたが、あくまで試合中のアクセントであって、本気でマスクを剥いだレスラーはいませんでした。そんな中でマスク剥ぎという暴挙に出た小林に対し、当時の中継を見ていた根っからのタイガーファンだった私は、驚きと怒りを感じ、「小林=反則をする悪いヤツ」と印象づけられたことを覚えています。

小林も後年のインタビューで「握手で始まり握手で終わる試合はたしかにキレイだけれど、お客さんはそれを求めていない。飛ぶ鳥を落とす誰かがいないとファンは燃えない。」と答えており、当時、金曜夜8時に全国放送されていたワールドプロレスリングの影響力は計り知れず、一夜で小林は一躍時の人になります。

しかし、小林のマスク剥ぎばかりが印象に残っていますが、後年、ビデオでじっくり見たときにしっかりとしたグラウンドの攻防であったり、お互いに手の内を知る中での駆け引きだったりと、試合内容もとても見応えのあるレベルの高いものであることが分かりました。

後年放送されたCS版では、テレビ中継ではカットされていた小林の入場シーンが見られます。ちなみに小林の入場テーマは「Blue Eyed Soul」でした。

この試合の結果を受けて、シリーズ最終戦の蔵前大会はカードが変更され、WWFジュニアとNWA世界ジュニアの2つのベルトを掛けたダブルタイトルマッチとして再戦が行われることになりました。