

11月5日のワールドプロレスリングは、闘魂シリーズ最終戦の11月4日蔵前国技館からの録画中継。シリーズ前に発表されていたカードから大幅な変更があり、メインエヴェントはアントニオ猪木vsラッシャー木村、アニマル浜口、寺西勇の1vs3の変則マッチ、セミファイナルに藤波辰巳vs長州力のWWFインターナショナル・ヘビー級タイトルマッチ、そしてタイガーは小林邦昭とWWFジュニアヘビー級とNWA世界ジュニアヘビー級の2つのベルトを掛けてタイトルマッチを行います。


番組のオープニングタイトルのバックでは、この日のメインの猪木と国際軍団の入場シーンと共に、タイガーと小林、藤波と長州の入場シーンが映し出されます。




CM明け、蔵前国技館の上空からの映像が流れた後、会場に向かう人々の姿が映し出され、その中で古舘伊知郎アナが、メインエヴェントの猪木vs国際軍団の試合が猪木が同時に3人と戦うのか、1人ずつ3回戦うのかがまだ決まっていないことを伝えています。



画面が切り替わり、既に入場を終えた小林が待ち構える中、「燃えろ!吠えろ!タイガーマスク」に乗ってタイガーが入場。


タイガーはリング下で花束を受け取り、トップロープに上りお馴染みのポーズ。


トップロープ上でマントを外すと

飛び降りた勢いそのままに小林に対してドロップキック‼


小林をリング下に投げるとリング下の小林に向かってトペ・スイシーダ‼



奇襲に成功したタイガーはリングに戻りガッツポーズ!

不意を突かれた小林はリング下でダウン。

そのまま一旦CMに入ります。

CM明け、試合開始のゴングが鳴るところから中継が始まります。


小林はジャンピングしての後ろ回し蹴りでタイガーを威嚇。

タイガーがローキックを見せると小林もローキックで反撃しますがタイガーは脚を上げてブロックします。



何気ないやり取りに見えますが、私の記憶ではローキックを脚を上げて防御するというのが一般的に知られるようになったのはUWFが旗揚げして、関節技やキックの技術について語られるようになってからだったと思います。プロレスの試合に本格的にムエタイ流のキックを持ち込んだと言われているタイガーですが、この時代にキックの防御を見せていたタイガーに改めて感心してしまいました。
風車式バックブリーカーで小林をダウンさせたタイガーはダイビング・ヘッドバットを見せますが、これは小林が寸前でかわします。



小林のキックをガードすると

タイガーは小林のボディにフロント・キック

ハイキックが小林の顔面をかすめます。

さらにここでも小林の脚へのタックルをタイガーがかわし、小林の立ち上がりざまに側頭部へキックを見舞うという現在のMMAにつながるような動きが見られます。


小林のショルダースルーを切り返し着地したタイガーに小林はドロップキック!



さらに後ろ回し蹴りを見せるとタイガーは場外へ転落。


小林がブレーン・バスターを狙うとこれを堪えたタイガーは逆にブレーン・バスターで投げようとし、

さらに小林がダブルアーム・スープレックスを狙うと

タイガーは投げさせないように踏ん張ってリバース・スープレックスで投げようとすると、これをまた小林が踏ん張るという意地の張り合いを見せます。


小林がタイガーをコーナーに振ると

タイガーは振り向きざまのボディ・アタックを狙いますが、それを読んでいた小林がかわしたところ

タイガーは小林の腕を取っての投げを見せます。



ダウンした小林に向かってバック宙してのダブル・ニー・ドロップ‼


さらにタイガー・ドライバーを決めます。

タイガーが小林にキーロックを決めると

小林はタイガーを持ち上げ

両者もつれるようにリング外へ。

リング内に戻った小林は背後からタイガーの左腕をロックするとマスクの紐をほどき始めます。

そのままメキシカン・ストレッチに入りますが

タイガーはカンガルーキックで脱出。

さらに小林の喉元にローリング・ソバット一閃!

ツームストーン・パイルドライバーで小林をダウンさせると

トップロープに上りダイビング技を狙いますが

小林がかわすのを察知して、飛び込み前転の形で着地します。


小林はボディへのキックから

必殺のフィッシャーマンズ・スープレックス‼

タイガーは小林の後ろ回し蹴りをかわすと

バック宙しての胸板へのキック‼



タイガーは場外に落ちた小林に向かってフィンタ・デ・レギレテからプランチャを放ちますが


小林がよけたためタイガーは自爆。

エプロンのタイガーを引きずり起こすと、タイガーのマスクに手を掛け

大阪大会に続き再びマスク破りの暴挙に出ます。柴田レフェリーは即座に小林の反則負けを宣告。

セコンド陣を巻き込んでの乱闘になります。

怒りのタイガーは小林にナックルパートから

ローリング・ソバット!

小林をコーナーに宙づりにすると

キックを連打します。


勝ち名乗りを受けるタイガーに小林が襲いかかり両者場外へ。



タイガーは小林のコスチュームの帯を使って小林の首を絞めながらリング内に戻ると

タイガーは小林に怒りの平手打ち!

改めて勝ち名乗りを受けるタイガーにまたもや小林が襲いかかります。




小林がまたもやタイガーのマスクに手を掛けるという暴挙ですっきりとした決着は見られませんでしたが、大阪大会では試合後に防戦一方だったタイガーが小林を攻め立てることでやや溜飲を下げる結果となりました。
大阪大会に引き続き小林のマスク剥ぎによるタイガーの反則勝ちという不透明決着に終わったという結果ばかりに目がいきがちですが、試合をじっくりと見てみると、改めて2人よるハイレベルな攻防が行われていたことに気づかされます。そして、この日のタイガーの動きは、小林の動きを一枚上回っていたと感じました。
ちなみにこれまでだと、前シリーズの大阪でのブラック・タイガー戦もそうであったように、メインの猪木の試合をフルで流そうとするとタイガーの試合は前半が大幅にカットされてしまうことがあり、タイガーがお目当てのファンはもどかしく感じることもありました。
しかし、テレビ朝日がこの日はメインの猪木の試合を2週に分けて放送するという英断を下したことで、無事にほぼノーカットで見ることができました。
なお、後年放送されたCS版では、TV中継でカットされた小林の入場シーンも見られます。大阪大会に続き「Blue Eyed Soul」で入場。



また、TV中継ではカットされたタイガーが奇襲に成功した後の、セレモニーから両者がコールされるまでの模様(タイガーに襲いかかろうとする小林を制止する柴田レフェリー)も見ることができます。





小林との合体も報じられていた長州も同日に行われた藤波との遺恨試合が不透明決着に終ったため、これからの抗争に期待が寄せられましたが、タイガーはアメリカ&メキシコ遠征に出るため次期シリーズの第3回MSGタッグリーグ戦を欠場。小林との対戦はしばらく間が空くことになります。