「プロレススーパースター列伝」の単行本第11巻「タイガーマスク編」の第3弾が発売されます。

初版が1982(昭和57)年12月15日ですので、実際は10月頃の発売と思われます。

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

内容は、宿敵ブラック・タイガーとの初対決からヒザの負傷欠場を乗り越え二冠王者になり、ウルトラマンとの夢のヒーロー対決を制するところまでとなります。

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

試合中にB・タイガーの鉄柱攻撃を受けたタイガーが失神状態になり、無意識の中本能のみで試合を続け、場外戦の最中に意識を取り戻したタイガーが強引に両者リングアウトに持ち込んだという展開になっています。

本当に半失神の状態で試合を続けていたかは分かりませんが、実際の試合でもテレビを通じてその音が聞こえる強烈な鉄柱攻撃で明らかにタイガーの動きが悪くなったのは事実で、そこを誇張しながら上手くエピソードに盛り込んでいくのはさすが梶原センセーです(笑)。

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

当時、移動中にアブドーラ・ザ・ブッチャーとB・タイガーがあわや乱闘になりかかったというエピソードを信じていたは私は、後年、B・タイガーのWWFジュニアヘビーのベルト奪取を祝福し、一枚の写真に収まるブッチャーの姿を見て、愕然としたのを覚えています(笑)。

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

タイガーの突き上げる1本指はピストル、つまり真剣勝負(シュート)を意味し、いつも命懸けの試合をしているという意味だと明かされます(笑)。

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

メキシコから「打倒タイガー!」のために様々なレスラーが刺客として送り込まれるという、プロレスの仕組みについて深く知った今では「そんなことは(苦笑)」となるところですが、この「虎の穴」的な発想はさすが梶原ワールド全開といったところですね。

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

私が個人的に好きなシーンは、このB・タイガーが大仁田に対して発したとされるこのシーン。実際に言ったかどうかは分かりませんが(多分、言っていません)、タイガーの実力を裏付ける言葉に納得させられ、それをB・タイガーの口から出た(とされる)というのがしびれました。

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

プロレススーパースター列伝 第11巻(小学館)

B・タイガーという最大のライバルがタイガーの前に立ち塞がり、ヒザの負傷で欠場に追い込まれながらも、NWA世界ジュニアヘビー級タイトルを奪取。そしてB・タイガーを破って二冠王の座に就くという展開。

第10巻に比べると、実際の流れに合わせて進んでいくため、創作の部分はかなり少なくなりますが、それでも随所にファンタジーの部分が散りばめられ、多くの苦難を乗り越え、栄光の二冠王となったタイガーの姿が劇的に描かれています。

なお、B・タイガーとの初対決が少年サンデー誌に掲載されたのが5月12日発売の号になるので、実際の試合から3週間ほどしか空いておらず、ほぼリアルタイムで進んでいたということになります。

当時は家庭用ビデオデッキがそれほど普及していなかった時代、漫画によって追体験ができるということで、ファンとしてはたまらないものがあったものでしょうね。

これにて、タイガー編は完結。全3巻となりましたが、他のレスラーに比べると長く続いており、当時のスターレスラーのジャイアント馬場&アントニオ猪木のBI砲ですら、2人で2巻で、他のレスラーの中には1巻分に満たない話もありますから、それだけタイガーが人気のコンテンツであったことがここからも分かります。