1月29日のワールド・プロレスリングは、前日の28日に東京体育館で行われたタイガーvsダイナマイト・キッドのWWFジュニアヘビー級タイトルマッチが録画中継でオンエアされます。

82年1月28日 東京体育館大会
THE WRESTLER Vol.6 82年1月28日 東京体育館大会
 
 
 
 
 

テレビ中継は、両選手のコールのシーンから始まり、試合は開始から6分経過したところ、タイガーがキッドのヘッドシザースを切り返し、変形の逆エビ固めを決めるところから始まります。実況は保坂正紀アナ。

 
 

タイガーはキッドの足に狙いを定め、足四の字固めで追い打ちをかけます。

 

脱出したキッドはサイド・スープレックスを決め反撃しますが、タイガーもダブルアームスープレックスで返すなどお互いに譲りません。

 
 

ロープから返ってきたタイガーを抱え上げるとそのままツームストーン・パイルドライバー。続く攻撃でダウンしたタイガーにダイビング・ヘッドバットを狙いますが、タイガーの位置がコーナーに近かったため、キッドはハーリー・レイス張りに倒れ込むようにダイブ。しかし、これはタイガーがかわします。

 
 

そこでタイガーは後のタイガー・ドライバー(三沢タイガーの技とは違います)の原型となるフロント・ネック・チャンスリー・ドロップでキッドの脳天をマットに叩きつけ、トップロープからのダイブを見せますが、こちらもキッドがかわします。

 
 

最後は場外のキッドに、トペを決めたタイガーが先にリングに生還。リングに戻ってくるキッドの首根っこ掴んでブレーンバスターを狙います。

 
 

しかし、空中で切り返しキッドがバックを取ります。タイガーはすかさずバックを取り返しますが、キッドが再びバックを取り返し、更にバックを取り返したタイガーが引っこ抜くようなジャーマン・スープレックス・ホールド一閃!キッドからピンフォールを奪い、初防衛に成功しました。

 
 
 
 
 
 
 
 

後年CSで放送された試合は両者の入場シーンから、市販DVD「初代タイガーマスク~猛虎伝説~Vol1」に収録されている試合は両者のコールから始まり、テレビではカットされた試合開始から6分間の攻防をしっかりと見ることができます。

 
 
 

キッドにわざと左足を取らせて捻りを加えてのバックキック、キッドの前蹴りを両手をクロスして受け止めてから回転しての足払いをタイガーが見せると、キッドも負けじとジャンプしてのハイキックを見せるなど、試合開始のゴングから激しい攻防を見せます。

 
 
 
 
 

その後もお互いに腕を取り合う定番のムーブや、豪快にキッドを投げ飛ばすモンキー・フリップ(これまたキッドの受けが素晴らしい!)、キッドの力強いダブルアーム・スープレックスなど、見応えのある攻防が繰り広げられています。

 
 
 
 
 
 
 

改めて見ると、ところどころグランドの攻防(キッドのマスク剥ぎも含め)が見られるおかげで、単なる大技の披露だけで終わらず、試合が締まっているように感じました。

試合開始から終了まで、息をつかせぬ素晴らしい攻防が見られたタイガーの試合が途中からというのは勿体ない気もしますが、この日のメインはアントニオ猪木とアブドーラ・ザ・ブッチャーのシングルマッチ。ブッチャーが前年の5月に電撃移籍を発表後、7ヶ月経ってのファン待望の初の一騎打ちということで、どんな闘いになるかファンの注目を浴びていました。また坂口征二とラッシャー木村のシングルマッチもあり(しかし、こちらも5分経過したところからオンエア)、ヘビー級重視、そしてまだ猪木が絶対的なエースだったという時代からも、仕方がないと言えるでしょう。

ちなみにこちらもファンによる生撮りが存在しており、テレビ中継でカットされていた部分をこの生撮りで補完した「完全版」が存在します。

 
 
 

当時はまだビデオデッキが各家庭にそれほど普及しておらず、市販のビデオソフトもそれほど種類が多くありませんでした。

また、ビデオが普及し様々な映像がソフト化し始めた80年代後半も、タイガーの試合は諸事情からなかなかソフト化されず、こういったテレビでカットされていたものも含め、タイガーの試合のノーカット版が多く見られるようになったのは90年代に入ってからです。

「試合開始から最後まで完全なものを見たい!」という熱い思いで編集を行った当時のマニアの方には頭が下がる思いです。