1980年5月より、小学館発行の「週刊少年サンデー」で、「プロレススーパースター列伝」の連載が開始します。原作は、当時、スポーツや格闘技を題材としたマンガの原作者として活躍していた梶原一騎氏(言わずもがな「タイガーマスク」の原作者でもあります)、作画は、当時デビュー間もない原田久仁信氏でした。

週刊少年サンデー 80年6月1日号(小学館)

実在のレスラーの中から、当時日本で人気のあったレスラーを題材に過去のエピソードが描かれており、かなり劇的に誇張されてはいましたが、その内容はとてもエキサイティングで少年ファンにとってまさに「バイブル」となっていました。1回およそ20ページの連載で、記念すべき1回目のレスラーは、ザ・ファンクスでした。

週刊少年サンデー 80年6月1日号(小学館)

その後、スタン・ハンセン、アブドーラ・ザ・ブッチャー、アンドレ・ザ・ジャイアント、タイガー・ジェット・シン、BI砲(ジャイアント馬場&アントニオ猪木)、カール・ゴッチ、リック・フレアーと続き、1982年に入って、「夢の英雄(ヒーロー)!タイガーマスク」編がスタートします。

5号となってはいますが、発売は1月7日。つまり新年第1号ということで、表紙にも「タイガーマスク編開始」と書かれており、売りになっていることが分かります。

週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)

オールカラーページで、冒頭にはコーナーポストに立つタイガーの勇姿が描かれています。

週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)
週刊少年サンデー 82年1月20日号(小学館)

第1回の内容は、タイガーの衝撃のデビュー戦の様子が描かれていますが、改めて見ると事実誤認だらけということが分かります(苦笑)。

デビュー戦ではタイガーはコーナーポストに立ってはいませんし、デビュー戦は「MSGシリーズ開幕戦」ではありません。キッドの髪型は坊主頭では無いですし、マスクのデザインも違います。試合展開もタイガーはトペ(プランチャも)は放っていません。フィニッシュも先にリングに戻ったキッドがブレーンバスターを仕掛けたところを、タイガーが切り返してジャーマンを決めています。試合後のキッドへのインタビューでも、タイガーは日本デビュー前にイギリスで数戦こなしているとなっていますが、これも事実ではありません…と挙げていっても野暮といったところで(笑)。

まあ、事実をなぞったドキュメンタリーではありませんし、マンガとしてのエンタメ性を考えドラマチックな展開にするにはこれぐらいの誇張は必要かも知れませんね。

この後もフィクションとディフォルメを繰り返し、タイガーのデビュー後の足跡を追いながら、タイガーの素顔や過去に迫っていきます。