81年6月4日蔵前国技館でのMSGシリーズ最終戦では、当初予定されていたクリス・アダムスとのシングルマッチから変わって、先輩の藤波辰巳と組み、アダムス、マイク・マスターズと対戦します。

この試合は、81年6月19日に放映されています。

当時のワールド・プロレスリングは、開幕から最終戦まで生中継を中心にシリーズを追っていく放送になっていましたが、シリーズとシリーズの間のオフの中継は、シリーズ中に録画しておいた素材を放送するという形を取っていました。

6月4日のシリーズ最終戦の蔵前大会は、翌5日に中継されていますが、この日の放送はMSGシリーズの優勝戦進出者決定戦の猪木vsシン、優勝戦の猪木vsハンセンの2試合のみとなっています。

そして翌週6月12日の放送では、5月26日の大阪大会がオンエアされ、その翌週の6月19日に6月4日のタイガーの試合と、6月3日の愛知大会で行われた2試合がオンエアされています。

市販のDVD「初代タイガーマスク~猛虎伝説~Vol1」には、この試合が収録されていますが、試合の途中が大幅にカットされており、タイガーの活躍する場面を中心としたダイジェストとなっています。

当方、残念ながら当時の放映版を所有しておりませんが、タイガーの試合と同日放送された他の2試合は所有しており、オンエアの時間を計算すると、10分程度に編集されていたと予想されます。

ただ、数年前に放送されたCS放送では、入場シーンからフィニッシュまでがノーカットで放映されています。

近年放送されているCS版では、当時の収録素材をそのまま放送しているものもあり、当時のオンエアでは試合の一部がカットされていたものもノーカットで放送されたり、中には収録されながらもオンエアされなかった試合が放送されたりと、貴重な映像を見ることができます。

また、映像で言えばこの試合も観客による生撮りのものが存在しています。

タイガー組は、「タイガーマスクⅡ世」の曲で入場してきます。タッグマッチの場合、格上の選手(ここでは藤波選手)の曲で入場してくるのが通例ですが、ここでもタイガーがスペシャルな待遇を受けていることが分かります。

試合は、アダムス、マスターズとグランドを中心とした展開になります。

タイガーというと華麗な空中殺法という飛んだり跳ねたりのイメージが強いですが、ほとんど飛んでいないことが、改めて分かります。

解説の山本小鉄氏が、タイガーの弱点として「技を出した後の体勢がよくない。自分の技に酔っているわけではないが、素早く技を決めた後に、ホッとしているのか、棒立ちになっていたり腰が据わっていなかったりする。」と言っているのも興味深いです。

最後は、ロープに振って帰ってきたアダムスを藤波が抱え上げ、そこにタイガーがコーナー最上段からボディアタック!藤波がアシストに回った形で、タイガー組の勝利となりました。