今では、過去の試合もDVDやネット等で簡単に観ることができますが、当時はインターネットで過去の試合が見られるなどの環境は存在せず、家庭用ビデオデッキもそれほど普及していませんでした。そのため基本的にテレビ番組はリアルタイムで視聴するしかありませんでした。

ドラマやアニメなどは「再放送」という形で見られるものもありましたが、プロレスなどのスポーツは再放送などされることもなく、基本的に見逃すと二度と見ることができないコンテンツでした。

そんな中、「当時の興奮をもう一度味わいたい!」という欲求からか、野球や競馬など、スポーツの実況が収録されたレコードが発売されており、ファンはそれを聞きながら、当時の興奮を思い起こしていたものです。

ご多分に漏れず、人気絶頂のタイガーマスクもレコードが発売されます。

プロレス 82年9月号(ベースボール・マガジン社)

ジャケットは「二冠伝説」のマスクを被った写真。この「二冠伝説」の美しさはほれぼれしてしまいます。

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

内容はデビュー戦であるダイナマイト・キッド戦を初め、ビジャノⅢ戦、スコルピオ戦、グラン浜田戦、WWFジュニアヘビー級王座決定戦のダイナマイト・キッド戦、ベビー・フェース戦、スティーブ・ライト戦、二冠王となったブラック・タイガー戦の実況録音と、4曲のイメージソングとなっています。

ここに収録されている「バーニング・タイガー」は、タイガーのデビュー戦でブレイン・ウォッシュ・バンドが生演奏していたものです。当日はサビの「タイガー!タイガー!」の部分が繰り返されているだけでしたが、おそらくこのレコードの発売に合わせて改めて曲に作り直したのだと思われます。

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

こちらは解説書。外側にはデビュー当時のぬいぐるみマスクの写真やシングルマッチの全成績が見られます。

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

内側には試合写真や「完全解剖タイガーマスク」としてタイガーのボディサイズなどが掲載されています。

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

こちらは初回特典のポスターです。私も当時、自分の部屋に貼っていたのを思い出します。

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

プロレス 82年9月号(ベースボール・マガジン社)

デラックスプロレス 82年10月号(ベースボール・マガジン社)

こちらは同時期に発売されたカセットテープ。

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

こちらは解説書。サイズの関係か、いくつかの写真が割愛されています。

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

「翔べ!タイガーマスク」(キングレコード)

当時、私の家に家庭用ビデオデッキが来たのは1983(昭和58)年9月。タイガーが引退した直後でした。これでも周りの友達よりもやや早く、多くの家庭に普及したのは80年代後半だったと記憶しています。また、ビデオテープも非常に高価で当時中学生の私のお小遣いではそうそう買うこともできず、1本のビデオテープに見たい番組を録画をし、視聴してはそこに上書きして…ということを繰り返しており、プロレスの試合もなかなか残すことはできませんでした。

そんなビデオデッキが無い時代、このレコードを聴きながら、「プロレススーパースター列伝」を読んでタイガーの活躍する姿を脳内再生していたものです(笑)