81年9月23日 田コロ大会
THE WRESTLER Vol.3 81年9月23日 田コロ大会

「創立10周年記念第2弾」と銘打たれた、9月23日の田園コロシアム大会は、2日後の9月25日のワールドプロレスリングにて録画中継されています。

「おまえは虎になれ」のテーマに乗って入場してくるシーンから、花束贈呈、コールのシーンまで放送された後、試合は6分が経過する辺り、タイガーがハンマースルーでソラールをロープに振ったところ、ソラールが力なく場外に倒れ込むシーンから流れます。

場外でクロネコが介抱する中、古舘アナのリポートで「左肩脱臼」ということが分かります(この日の実況は保坂アナ)。

その後タイガーがキックを連打し、なされるままにキックを受け続けるソラール。

タイガーは「もうダメだろう」というアピールをしますが、山本小鉄レフェリーは止めません。

ソラールも右腕のみを使って(左腕はダラリと下がったまま)反撃を試みますが、再度、タイガーがキックの連打から左腕をアームロックに決め、遂にソラールはギブアップ。タイガーが強引に試合を止めた形になりました。

不本意な試合になってしまい、タイガーも納得のいかない様子でした。

ちなみにこの日は、セミに伝説の一戦となった「スタン・ハンセンvsアンドレ・ザ・ジャイアント」、メインに、試合前にラッシャー木村の「こんばんわ」事件が起こった「アントニオ猪木vsタイガー戸口」があり、それらをフルに入れるためには、その他の試合をカットして放送する必要があり、セミの一つ前の「藤波辰巳vsエル・ソリタリオ」も8分経過した辺りからオンエアされています。

そのため、タイガーの試合も前半が大幅にカットされ、特にソラールの負傷したシーンも放送されていないため、何があったのか、当時のテレビの前のファンは分からなかったと思います。

当時、週刊少年サンデー(小学館)に掲載されていた「プロレススーパースター列伝(原作:梶原一騎・作画:原田久仁信)」のタイガーマスク編では、タイガーの正体のヒントをマスコミに話したソラールを、制裁の意味(マスクマンの正体を明かすことはタブーとされていた)で、ソラールの腕を故意に折ったとされており、当時のチビッコファンはそれを信じていたと思われます(かくいう私もそれを信じていました)。

現在、市販DVDなどでは、試合開始から問題のシーン見ることができますが、序盤は特に不穏な動きも無く、ごく普通の攻防が続いていきます。

結果として、問題となったシーンは、腕折りなどでは無く、バックからハンマーロックを決められたソラールが、前方に大きく跳ね上がり、全身を使った投げを打って、その体勢から脱出を試みるムーブの中で起こりました。

その前にタイガーも同じムーブを見せており、本来ならば、ソラールの動きに合わせて投げられるはずのタイガーでしたが、跳ね上がったソラールの腕を緩めず、そのままマットに叩き付けたのです。

これによってソラールは脱臼。戦闘不能となってしまったのですが、こちらもルチャのムーブに付き合わなかったタイガーが悪いのか、ソラールの受け身がまずかったのか、どちらとは言えません。しかし、前哨戦でよい動きを見せていたソラールの良さが見られず、消化不良の試合になってしまったことが惜しまれる一戦でした。

ちなみに、こちらも生撮りが存在しているのですが、テレビ中継でカットされていた部分をこの生撮りで補完した「完全版」が存在します。そのつなぎの部分もスムーズで、作成者の技術力の高さに感心させられてしまいます。今ならDVD等でいわゆる「完全版」は見られますが、作成したマニアの方の拘りと熱意が感じられるものとなっています。