


当時のプロ野球(特に読売ジャイアンツ)人気は絶大なものがあり、ジャイアンツは基本的に毎試合中継が行われていたので、今では考えられませんが、地上波ではシーズンになると毎日のようにプロ野球中継が行われていました。
となると、レギュラー番組によっては野球中継があることによって中止になったり、中継が延長されると開始時刻が遅れたりするなどの弊害が生まれ、さほど野球に興味がない人にとって野球中継は悩ましい存在でした。
また、野球中継は基本的に19:00~21:00の2時間(延長されると21:30まで)なので、金曜夜8時から行われていたワールドプロレスリングはちょうど時間が重なり、野球中継が入ると放送は無しとなってしまいます。
ただ、当時はドーム球場が存在しなかったため、雨天で野球が中止となると必然的に中継も中止となり、その代わりに本来のレギュラー番組が「雨傘番組」として放送されることがありました(そのため、プロレスと野球中継が重なったときは中止になることをよく願っていたものです)。
10月8日開幕の闘魂シリーズ。この日は通常のワールドプロレスリングのレギュラー放送が予定されていましたが、急遽プロ野球中継が入ったため、ワールドプロレスリングの放送は中止と決まっていました。
しかし、雨天で野球中継が中止となったため、後楽園ホールからの生中継が行われることになったのです。
このシリーズは、長州力と小林邦昭が凱旋帰国。小林は10月26日の大阪大会でタイガーの保持するチャンピオンベルトへの挑戦が決定しています。
中継枠には入っていませんが、この日の入場式の様子や、小林の凱旋試合の映像が、マニアによる生撮りの映像として残っています。
入場式では、まず外国人選手が入場。

続いて日本人選手が入場しますが、タイガーの後に小林が続き、やや間が空いていますが、入場後も2人が並んで立っています。その後のタイガーと小林の関係を考えると興味深いシーンとなっています。


ちなみにアントニオ猪木とアブドーラ・ザ・ブッチャーは入場式に参加せず。

全選手がリングに上がった後、サインボール投げが行われますが

長州が藤波辰巳に何やら突っかかり、それをなだめる藤波の姿が映っています。映像では確認できませんでしたが、どうやら、藤波が冗談のつもりで長州に軽くボールをぶつけたのに対して、それを冗談ととれなかった長州(それだけピリピリしていたのでしょう)がむきになって突っかかっていたようです。その後のメインの長州の藤波に対する反逆の布石になっていますね。

入場式の後、木戸修、小林、ジョニー・ロンドス、シルバー・ハリケーンの4選手がリング内に残りタッグマッチが行われます。

先発は小林とハリケーン。小林は後ろ回し蹴りでハリケーンを威嚇します。

ロンドスはグラウンド中心にキックやエルボーなどの打撃を織り交ぜながら繰り出すスタイル。来日時は48歳と決して若くはありませんでしたが、カール・ゴッチも認めるテクニシャン振りで渋い動きを見せていました。



ハリケーンの正体は、国際プロレスに来日経験があるミレ・ツルノ。線は細いのですがこちらも実力者。ビザが下りず素顔を隠してのファイトとなっており、この1戦のみで帰国しています。


小林もロープワークからハリケーンのモンキーフリップを側転で切り返すなど、よい動きを見せます。


腰投げから

ドロップキック!


ロンドスのレッグロックを、リバースのロメロスペシャルで切り返す小林。





ハリケーンはコーナーからのダイビング技を狙いますがこれを小林が寸前でかわし

最後はロープから返ってきたハリケーンの腹部に小林がキックを入れ、前屈みになったところにフィッシャーマンズ・スープレックス!



当時はフォール技として認識されていなかったのか、ハリケーンの肩がついていないこともあり柴田レフェリーはハリケーンのギブアップとしてゴングを要請。小林が凱旋試合で勝利を収めました。

