11月10日に日本を発ち、メキシコで5試合を行ったタイガーは、15日にアメリカのフィラデルフィアに向けて出発。16日に到着したタイガーはまずペンシルバニア州アレンタウンのアグリカルチャー・ホールにて、WWFの試合を流していたTV番組「チャンピオンシップ・レスリング」用の試合の収録を行っています。
この日のタイガーはマック・リベラと対戦していますが、タイガーのアメリカ遠征では、日本で放送された試合以外にも、現地で放映された試合の映像がいくつか残っています。



タイガーはお馴染みの独特のステップでリベラを牽制。

リベラのキックを両手でブロックしたタイガーは、回転しての足払い。

ジャンプしての後ろ回し蹴りでリベラを威嚇。リベラは大きくのけぞります。

タイガーはリベラに足を取らせると、バックキック!

自らロープに飛んだリベラに、タイガーはカウンターのドロップキック!

リベラをコーナーに振ったタイガーはサマーソルト・キックから

ローリング・ソバット‼

そして、リベラをロープに振るとフライング・クロス・チョップを決めます。

最後はボディスラムでリベラを叩きつけ

コーナーに飛び乗ると、ラウンディング・ボディ・プレス‼


3カウントを奪い、タイガーが勝利をしました。

時間にしておよそ1分12秒。タイガーが一方的に攻め、内容的にはやや物足りない試合となりましたが、これは当時のアメリカと日本のテレビのもつ意味合いの違いからきています。
日本はシリーズの開幕戦から最終戦までの各会場の試合を時には生中継でテレビで流し、ほとんどのビッグマッチは会場に行かずともテレビ(無料)で見ることができました。
しかし、アメリカは各会場の試合やビッグマッチは基本的に無料のテレビで見ることはできず、会場に行くかビッグマッチによってはPPVを購入して見るかのどちらかしかありません。そのため、テレビは各レスラーのプロモーションを行い、会場に足を運んでもらうという役割を果たしていたのです。
TVマッチはあくまでレスラーのプロモーションですから、興行の目玉として新しく参戦するレスラーの場合は顔見せの意味合いがあり、そのよさを引き立てるような対戦相手が選ばれ、十分にアピールできるような一方的な試合になることも多かったのです。
結果、タイガーの試合もそうはなりましたが、タイガーの独特のムーブのオンパレードとなり、アメリカの観客や視聴者には十分なアピールとなったのではないでしょうか。
ちなみに日本のようなシリーズの流れを追う必要はありませんから、3週分のテレビ番組で流す試合を1つの会場で1日かけてまとめ撮りしていたそうで、その日はWWFの首脳陣からトップレスラーが勢揃いし(その分自分の出番までの待ち時間も長く)、レスラーによっては1日に数試合行うこともあったそうです。