タイガーがアメリカ遠征の2戦目の11月17日、ペンシルバニア州ハンバーグのフィールドハウスで行われたWWFのもう1つのTV番組「オールスター・レスリング」の収録で、カート・ヘニングと対戦しています。

カート・ヘニングはラリー・ヘニングを父親に持つ二世レスラーで、当時デビュー3年目のグリーンボーイ。10月にWWFにサーキット入りし、修行を積んでいるところでした。

ヘニングは細身ながら身長185㎝の長身で、タイガーとは明らかな体格差があります。

タイガーは独特のステップから

ロックアップ

ロープに押し込んだタイガーはクリーンにロープブレイク

腕を取られたタイガーは独特のムーヴから脱出。逆にヘニングの腕を取り、投げを打ちます。

タイガースピンからレッグロック

脱出を試みるヘニングのバックを取ると、負けじとヘニングもバックを取り、お互いにバックの取り合いとなります。

続いて芦を狙ったタイガーは、スピニング・レッグロック

タイガーはファイヤーマンズキャリーからヘニングを投げると再び腕を極めます。

ヘニングはボディスラムで脱出!

ヘニングが攻めに転じると、これをタイガーは切り返しヘニングの首を固めます。

これを脱出したヘニングはタイガーにトーホールド

これを独特なムーヴで切り返したタイガーは、ヘニングの腕を極めます。

脱出したヘニングは、タイガーをロープに振るとドロップキック‼

続いてショルダースルーを狙うヘニングでしたがタイガーはこれを切り返し、逆にヘニングをアームホイップで投げます。

最後はヘニングがボディスラムに抱えたところ

ヘニングの肩に跳び乗ったタイガーは高角度の前方回転エビ固め!

タイガーが3カウントを奪い勝利します。

試合後はお互いの健闘をたたえ合い、爽やかな幕切れとなりました。

ヘニングは翌83年には新日本プロレスに初来日していますが、こちらはタイガーが引退した後の11月開幕の「第4回MSGタッグリーグ戦」だったため、タイガーとの接点はありませんでした。ただ、ヘビー級としての来日だったので、タイガーが引退していなくても対戦はなかったかもしれません。

ヘニングは84年にAWAに転出し、全日本プロレスの85年11月開幕の「’85世界最強タッグ決定リーグ戦」に初参戦。87年にはAWA世界ヘビー級王座を奪取し、88年の来日時には、チャンピオンとして三沢タイガーと対戦しているため、「タイガーvsヘニング」というとそちらをイメージする方が多いのではないでしょうか。

この日のタイガーは前日とは打って変わってグラウンド中心の攻防を見せており、両者が繰り出した技の中で一番の大技といえばヘニングのドロップキック(ドロップキックも大技と言えるほどではありませんが…)くらいでした。そんな地味とも言えるグラウンドの攻防も、トリッキーな動きで観客を魅了してしまうタイガーはやはり天才と言えますね。