デビュー以来、無敗の快進撃を続けてきたタイガーマスク。シングル、タッグ共に引き分けはありましたが、タッグでパートナーが取られることもなく、正真正銘の負け無しでした。
そんなタイガーにも、いよいよ黒星がついてしまいます。
とはいえ、タイガーがフォールを取られたりギブアップをしたのではなく、タッグにおけるパートナーの敗北でした。そしてそのパートナーが、後にプロレス界のみならず一般世間をも巻き込んで一大ブームを起こした「第2次UWF」で活躍、総合格闘技の礎を築いた前田日明(当時は前田明)選手でした。
ヘビー級中心のメンバーが揃ったタッグリーグ戦。その中に、エル・カネック、スペル・マキナのコンビが参戦していたのですが、メキシカンということでしょうか、タイガーとタッグで(カネックはシングルでも)対戦する機会が与えられています。
そこで、タイガーのタッグパートナーに選ばれたのが前田選手でした。当時の前田選手はその体格から将来のエースと期待はされていましたが、デビューから3年余りの若手でしたから、リーグ戦参加のメキシカンコンビから比べれば明らかに格下。
また、ヘビー級のタッグリーグ戦に参加しているのに、いくら人気爆発中のタイガーマスクとはいえ、ジュニアヘビーのタイガーに簡単に負けるわけにはいかず、前田選手が取られるマッチメークとなったのは必然でしょう。
このリーグ戦でタイガーがタッグでカネック、マキナ組と対戦したのは3回。
12月1日には藤波選手を、7日にはジョージ高野選手をタッグパートナーに対戦しており、前者は藤波選手がマキナに勝ちましたが、後者はカネックが高野選手にフォール勝ちを納め、再び黒星を喫しています。
このブログを書くにあたり、タイガーのタッグのパートナーと対戦相手について調べてみました。
タイガーがシリーズ本格参戦を果たした「ブラディ・ファイト・シリーズ」では、ブラソスとの対戦がほとんどで(他はソリタリオ、ロバーツ、ソラールが数回)、パートナーはクロネコ(9回)、藤波辰巳(5回)、ジョージ高野(4回)、星野勘太郎(2回)、木村健吾(2回)、となっています。やはりメキシカン相手ということで、ルチャの動きに対応できる選手が選ばれ、多く組んでいます。
次の「闘魂シリーズ」はミショネロスが来日したことで6人タッグが多くなり、タイガーとタッグを組む選手も様々なタイプのレスラーとなっていきます。内訳はグラン浜田(13回)、ジョージ高野(7回)、藤原喜明(2回)、平田淳二(2回)、前田明(2回)、保永昇男(2回)、藤波辰巳(1回)、木戸修(1回)、星野勘太郎(1回)、木村健吾(1回)、永源遥(1回)、荒川真(1回)となっています。中でも「関節技の鬼」の異名を取る藤原選手が典型的なメキシカンとどのような絡みをしていたのか興味深いですが、残念ながら映像等は残っていません。