82年に入りワールド・プロレスリング1回目の放送は元日の1月1日、90分の「新春プロレススペシャル」として放送されます。

それまでも、元日夜のプロレス中継は行われていましたが、年末にニューヨークのMSGで行われた試合を収録し、それをオンエアするという形でした。

しかし、新日本プロレスは、「創立10周年記念・第5弾」として後楽園ホールで団体初の元日興行を打ち、さらに生中継を行うことを決定します。

82年1月1日 後楽園大会

細かいところで言うと1年の最初の日は「元日」と言い(暦でも1月1日は「元日」です)、「元旦」というのは元日の朝(午前中)のことを指す言葉なので、「元旦決戦」というのは正式には間違いとなりますが、そんな小さいことには気にしない。さすが「昭和プロレス」です。

ただ、これは今までに前例の無いことで、今でこそ元日から営業しているお店も当たり前のようになっていますが、当時は、正月の三が日、中でも元日は日本全体の動きが止まっていましたから、そこを考えると、この元日生中継というのは。昨年からの新日本の勢いを象徴するような決定と言えるでしょう。

この日のメインはアントニオ猪木vsローランド・ボック、セミはボブ・バックランドvs藤波辰巳のWWFヘビー級のタイトル戦、そしてセミ前の試合でタイガーマスクvsダイナマイト・キッドのWWFジュニア王座決定戦が行われました。

ちなみにこの日の外国人選手はボック、バックランド、キッドの3人のみ。今でこそ日本人のみの興行というのは珍しくありませんが、日本人対外国人の対戦が中心となっていた当時としては、この3人というのは少なく見えます。しかし、それでもカードに物足りなさを感じないのは、当時の新日本プロレスの選手層の厚さを象徴していますね。

THE WRESTLER Vol.6 82年1月1日 後楽園大会

ちなみに当日のパンフレットは、8日に開幕する「新春黄金シリーズ」のパンフレットと同じもので、当日参戦したキッドを含む3人の外国人選手の紹介が載っています。

THE WRESTLER Vol.6
THE WRESTLER Vol.6

当日は、いつもより早い7時30分から番組がスタート。

初めにカール・ゴッチの紹介、アントニオ猪木へのインタビュー、選手入場セレモニーが行われます。

ここでサインボール投げが行われますが、タイガーは通称「牙付き5号」と呼ばれるマスクを被っています。

また、今から十数年前のテレビ朝日のバラエティ番組「アメトーーク」のプロレス特集の中で、観客に向かって思い切りサインボールを投げつけるダイナマイト・キッド(通常のサインボール投げは、観客が取りやすいようポーンと軽く投げますね)が紹介され、そのぶっきらぼうさが笑いを誘っていましたが、そのシーンを見ることができます。

そして、カール・ゴッチvs藤原喜明のエキシビジョンマッチ、長州力vsアニマル浜口のシングルマッチに続いて、いよいよタイガーvsキッドの試合がオンエアされます。