元日決戦よりタイガーのマスクが一新します。
タイガーといえば、ピンと立った耳や、顎まで覆われた白い髭、牙が特徴でしたが、口の部分が大きく開いたマスクとなり、イメージが大きく変わりました。
これは「ソリタリオ口(ぐち)」と言われるカットで、前年の「ブラディ・ファイト・シリーズ」に参戦しタイガーとも対戦しているエル・ソリタリオのマスクの形状から来ています。
牙付きマスクでは「呼吸がしづらい」ということで、自分で口の部分をカットしたことがあるタイガーでしたが、これでその問題点が解決したことになりますね。
タイガーのマスクは当時放映されていたアニメ「タイガーマスクⅡ世」のスポンサーであるポピーが東映のヒーローもののコスチューム等を手がけていた「レインボー造形企画」に製作を依頼し(アニメの制作が「東映アニメーション」だったため)、本人に提供していたと言われています。
ただ、全国的なタイガーブームとは裏腹に、アニメの方は視聴率が振るわず、82年1月の打ち切りが決まったそうで、タイガーもここでポピーから提供されるマスクを被る必要が無くなります。
そこで、当時珍しかったマスク職人である「OJISAN企画」の豊嶋裕司氏に依頼し、今までのタイガーのデザインを基本にしながら、且つ機能性を重視したマスクを作ってもらったということです。
鼻の横の3本髭のデザインを残し、牙付きの名残である鼻の下に赤いワンポイント(豊嶋氏曰く『鼻血』だそうです)が見られるこのマスクは「伝説」タイプと呼ばれています。
これは後にタイガーが前人未踏のNWAとWWFのジュニア二冠王となったときに被っていたマスクの形状から「伝説」と付けられたのですが、これを習って元日決戦で使用されていたマスクも通称「元旦伝説」と言われています。
となるとネーミングの順番としては前後してしまうので、後年になって便宜上付けられた名称であることが分かります。
これは、今でこそタイガーのマスクについて様々な研究が進められ、細かい差異についての検証も行われていますが、当時はそういった研究はされて(いてもさほど話題にはなって)おらず、区別するネーミングはされていなかったためだと思われます。
この「元旦伝説」は以後の「伝説」タイプと比べると耳がやや大きめで、赤いワンポイントの部分が大きく、目の部分が横に広く(俗に言う「ヒラメ」というヤツ)なっているため、やや横にのっぺりとした印象を受けます。
虎らしさが薄れてしまったのは少々残念でしたが、このマスクの形状を基本にしながら、少しずつモデルチェンジしたマスクを被りタイガーの快進撃は進んでいきます。