6月18日のワールドプロレスリングはサマーファイト・シリーズⅠの開幕戦、蔵前国技館からの生中継。この日はアントニオ猪木のヒザの負傷からの復帰戦(対戦相手はスコット・マギー)、アンドレ・ザ・ジャイアントとハルク・ホーガンのシングルマッチ、藤波辰巳が「飛龍十番勝負・第4戦」としてエル・カネックと対戦と注目のカードが並び、その中でタイガーはウルトラマンとのWWFジュニアヘビー級タイトルマッチが組まれています。

プロレス 82年7月号(ベースボール・マガジン社)

82年6月18日 蔵前大会
THE WRESTLER Vol.9 82年6月18日 蔵前大会

まずはおなじみの「ウルトラマンの歌」にのって入場してくるウルトラマンの姿が映し出されます。

続いてタイガーの入場。

CM明け、両者のコールから始まります。

ゴングが鳴るとウルトラマンはヘッドスプリングからスペシウム光線のポーズ。タイガーのやや冷めた表情が見られます。

お返しにタイガーはスピンキックで威嚇しますが、ウルトラマンも負けじとトラースキックを見せます。

ウルトラマンの足を攻めるタイガーに対し、腕を攻めるウルトラマン。試合開始からまずはグラウンドの攻防が続きます。

激しいロープワークからタイガーはモンキーフリップでウルトラマンを高く放り投げ、立ち上がったところに高い打点のドロップキック!

場内に戻ったウルトラマンにボディシザースを決めるタイガーですが、ウルトラマンは体を上手く回転させ、サーフボード・ストレッチで切り返します。

タイガーのローリングソバットで再び場外に落ちたウルトラマンでしたが、エプロンに上がったところでタイガーのリストを取り、トップロープに駆け上がってのアームホイップ!

しかし、タイガーがこれを切り返し上手く着地!!

技が決まったと思ったウルトラマンも唖然とします。

ウルトラマンはネックブリーカードロップ2連発で攻め込みますが、ウルトラマンが軽量で技に重みが無いためか、タイガーは終始余裕があります。

タイガーのエルボースマッシュでウルトラマンは三たび場外に転落するのですが、ここで先ほどから気になっていたのがウルトラマンの落ち方。セカンドロープとサードロープの間から尻餅をつくような形で、後ろ向きに力なく場外に落ちていくので(ルチャによく見られるムーブであり本人は大丈夫なのでしょうが)見ている方がヒヤッとしてしまいます。

リングに戻ったウルトラマンにタイガードライバーを見せますが、ウルトラマンもロープに振ってのトラースキックで反撃します。

ウルトラマンは続けてボディスラムを放ちますが、スタミナ切れで技が続きません。

そしてロープワークからショルダースルーでウルトラマンを場外に落としたところで

反対側のロープに跳んだタイガーは

リング中央で側転をし、

その勢いのままノータッチでトップロープ越えのプランチャ!

これが新兵器のスペース・フライング・タイガー・ドロップ!ウルトラマンは完全にグロッキー状態になってしまいます。

ようやくエプロンに上がってきたウルトラマンにタイガーはブレーンバスター。

ウルトラマンも意地を見せ、タイガーにバックドロップを決めようとしますが、タイガーがトップロープを両足で挟んでバランスを崩したため、ウルトラマンはタイガーに押しつぶされてしまいます。

コーナーに振られたウルトラマンはなおもトップロープからのフライングボディアタックで反撃しますが、飛距離が十分ではなく失敗に。

グダグダなウルトラマンに試合続行不可能と見たタイガーは、ジャーマン・スープレックス・ホールドを決め試合を終わらせます(カウント中にグリップを外していますが、ウルトラマンに返す余力は残っていませんでした)。

タイガーがWWFジュニアヘビー級王座を防衛しました。

ダウンしたままのウルトラマンを起こそうとするタイガーですが、ウルトラマンは足から崩れてしまいます。

最後はウルトラマンの手を上げ、健闘を称えます。

市販DVD「初代タイガーマスク~猛虎伝説~Vol1」に収録されている試合は、CM中に行われたタイトルマッチセレモニーの部分も見ることができます。

ちなみにこちらもファンによる生撮りが存在しています。

この1戦は「タイガーマスク」「ウルトラマン」というテレビから生まれたヒーロー同士の”夢の対決”として注目を浴びましたが、残念ながら名勝負とはなり得ませんでした。

ウルトラマンも所々良い動きを見せてはいましたが、ウルトラマンを名乗るには実力が伴っていませんでした。ファンの方も「ウルトラマン」ということでハードルを上げ過ぎてしまったのかも知れませんね。